第25回短編小説の集い感想まとめ
遅くなりましたが、感想書かせて頂きました。
久々に参加した「短編小説の集い」でしたが、書いて終わり、じゃなく皆さんから言及頂けることの楽しさを改めて感じます。
小説は時間が掛かるし孤独な行為だし、完結前に挫折してしまいがち。
誰かの感想を聞いて、それが参考になったり励みになったり、更に書こう!という意欲に繋がるといいですよね。
そんなことを考えながら、皆さんの物語を読ませて頂きました。
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かわいい!きゅんとしてモゾッとする恋愛小説。
少女漫画の恋の始まるシーンを読んでるような、きゃあああ!と目をふさぎたいけど指の間から見ちゃうような(笑)
『グニグニ、グリグリ』という表現が触感とか軟骨の雰囲気まで伝わってくるようで、しかもなんとなくエロティックでいいなぁ、と思いました。
タイトルをもし変更するとしたら…「Love arthritis」とかどうでしょう?
恋の関節炎(笑)我ながらセンスない…!
明恵さんは小説を書くのは初めてだったのでしょうか?
そうとは思えないくらい、手慣れてるし上手い!
シンクロンという病の症状のリアルさ、そこから精神支配能力というSF展開まで、星新一チックな展開で楽しんで読みました。
そして主人公神代が人類に戻った真の理由とは…神代は思い切り明恵さんだなぁ、と(笑)でもこういうのも小説を読みあう楽しさの一つですね。
面白かったです、ぜひまた書いてください!
かわいい!七海の天然っぷりにニヤニヤしてしまいました。
しっかり者の咲と七海のコンビ、最後「帰れ」で終わる所も面白かったです。
胸キュン要素大好き人間としては、七海が委員長にドキドキするようになったきっかけとか、家ではどんなことを思い出して憎しみ(?)を募らせてるとか、七海目線の具体的なエピソードがあるともっとキュンキュンしてたまらなかったと思います!
なお、個人的な好みとしては委員長は是非メガネでお願いします(笑)
主催者さまの作品。
一人称ですがこれは「認知の歪み」の物語なので、主人公目線じゃないと書けないお話ですね。
最初から所々に違和感があるのですが(中学生とは思えない主人公、異様な食欲や態度)正しいのは自分で、祖父の側に何かあるのだ、と主人公が考えているため日記が登場するまでその違和感の真の意味に気が付けない。
ミステリーで言う叙述トリック。
オチを知って読み返すとまるで違う世界が見えるので面白いです。
最初はシンプルに怖い、リアルだ、と感じたのですが、こうやって甘やかす、太らせる、母親の悪口を吹き込むおばあちゃんに育てられた友達を実際に知っていることに気がつき更にゾッとしました。
小説と違うのは、おばあちゃんが多分良かれと思ってやっている所。
だからノートも残さないし、周りも気が付けない。
友人にとっては料理上手でなんでも買ってくれる、いつも優しい夢のようなおばあちゃん。
リアルに見える…けれどもこれはあくまでも小説として、ラストに救いを残した物語なのだと思います。
いつも思いがけないオチやトリッキーな要素を取り入れているなおなおさんの作品。
今回のトリックは「さっちゃん」「つーちゃん」と名前が似ている所にヒントがあるのかなぁ。
最初に廃病院に一緒に行った「さっちゃん」は里美ではなく聡史。
だから月子は聡史の話を出してきたのだと思いました。
ラストの方で優子は聡史をさっちゃん、里美をさとちゃん、と呼んでるし。
そこに気が付くまでは月子が超能力者みたいに見えるところが面白いですね。
楽しい恋愛ミステリでした。
貿易船団で働くリュウと、ルナの物語。
病のルナが運ばれた先は防護服、ヘルメット、エアボンベにガスマスクをつけた地底人がいて…というSF。
ラストのIDタグで、舞台は地球でルナは観測員だということが分かります。
ルナとリュウは違う種族だったのでしょうか?
それとも過去や未来から来た人間?
色々想像したくなる、そんな物語でした。
リュウがルナに夢中なのは文章から伝わってくるのですが、逆にルナはどんなことを考えて、命の危険を顧みず彼の傍にいたのでしょう?最後にキスをしたんでしょう?
ルナから見たリュウの話も聞きたかったな、と思いましたが5000字超えちゃいますね。ルナ編、というBサイドで謎が明かされたら完璧かも。
綺麗で切ないお話でした。
かんどーさんの小説読むの久々すぎて、これが彼女のブログだと言うことをすっかり忘れてました(笑)
だから誰が書いたか意識せず読み進めて、設定が好きだなぁとか思って…噛み千切るシーンで、あっ、と。そこで気が付いてしまいました。
そのくらい「らしさ」が良く出てるシーンだと思う。
グロいホラーとか書いたら最恐だろうなぁ…。
精神病院の中で、加奈子だけがマトモで。いつ彼女の歪さが暴かれるのだろうと読み進めていたら思わぬ展開でした。
加奈子の母の抱える疑問は、法だけでは裁けない社会の歪み。
加奈子が犯した計画的猟奇殺人の話もミステリー的で面白そうだと思いましたが、そちらは多分五千字に収まらないですね。
まさりんさんの、入院中の男二人の物語。
いい大人なのだけれど、小学生のような「少年らしさ」を残した小杉さんがいい。
そして「小杉さんと同じ」にわざと反発してあちゃー、なんて言われる主人公も。
いい大人だって寂しいし、夢の終わりに感傷的になるのだということ。
幾つになったって友情は生まれるのだという事を改めて噛みしめたくなる物語。
静かなお話だけれど、登場人物が魅力的だから引き込まれますね。
人との距離の近い小杉さんは特にリアル。モデルがいるのかなぁ?
小説家が主人公のお話。
小説家の話を書くって、物語が入れ子構造になっているみたいで魅力的ですね。
作中には更に、主人公の小説家が書いた小説も挟み込まれていて面白かったです。
オープニングが、主人公が子供の頃に見た父の姿。
それから主人公が製薬会社らしき企業で働く姿。
そして午前0時に企業小説を書き始める主人公ー。
主人公は兼業作家、という解釈でいいんでしょうか?作中小説に主人公の仕事が生かされていますし。
企業で働く主人公龍一のシーンが、龍一本人ではなく作中小説の一部でもフェイクとして面白いかも、なんて思いました。逆に分かりづらくなってしまうかな?
最後に自作の振り返りを。
以前メインブログの方で、『他人に上手く助けが求められる、自分の状況を周りに伝えられる大人に育てるためにはどうしたらいいだろう?』というような記事を書きまして。
これは最初の構想では3部作だったんですね。まずは人に上手くSOSが出せない長男を育てる中で気がついたこと(上記事)、それから伝える事は大得意だけど察する事が苦手な次男を育てる中で気がついたこと、そして最後に平田オリザさんの行なっている演劇をコミュニケーションに繋げる取り組みについて、書く予定でした。
ところが小1の次男の話が、子育ての真っ只中にいるせいか上手く書けなくて。これは時間を置かないとダメだな…とお蔵入りしてしまったのですが、コミュニケーションと演劇という要素が『演劇病』の思いつきの素になりました。
だからこれはコミュケーションについての物語です。病というテーマとはズレちゃったな…。
大まかなプロットを考えた時に、これは5000字に収まらないぞ…と思ったので文字数を意識して、細部は飛ばして書き進めました。最後ようやく制限文字数内で終われる目処がついたので、お笑いのポジション、というお遊び要素を入れてしまいました。アレだけが完璧な思いつきなので、少し浮いてます(笑)
次回はもうちょっとテーマを意識して書きたいですね。お題ってなかなか難しいなー、と今更ながらに実感しております。
ではでは、皆様お疲れ様でした。
次回のテーマも難しいのですが、できれば参加したいと思っております。是非またお会いしましょう!