第14回短編小説の集い感想
遅くなりましたが第14回短編小説の集い感想です。
よろしくお願いします。
今回のテーマは食。食欲をそそる文章、美味しさの表現というのはなかなか難しかったです。
夫婦の、料理と本を巡るほっこり暖かくて美味しそうなお話。
本に出てくるメニューを再現してくれる奥さん、本当に素敵。
丘の上の家の景色まで浮かんでくるような、暖かいお話でした。
食事って大切、食べることを楽しむっていいな。
改めてそう感じる作品でした。
かぼちゃ料理が秋らしくてとても美味しそうな作品。
ストレスに追い込まれていたヒロインが、同僚の優しさに励まされ、やる気を見出す明るく優しいお話…の筈なのですが。
前の上司だった部長に関しても心配は要りません、私が彼を退職させましたから、今は私が部長なんですよ。だから、安心して戻ってこれます
ヒロインのためにここまでする同僚ってちょっと怖い。
そう思っていたら、なおなおさんのブログにまさかの裏設定が。
かぼちゃが人の顔に見えるってそういう理由だったんですね。
優しくて暖かい物語に紛れた、ちょっぴりの毒。
ハロウィンの季節らしいお話でした。
フレンチレストランの一つの席を巡るお話。
洒落たオーダーが出来るお客さんって素敵ですね。短いお話ですが賑わう店内の様子が浮かんできます。
ぶらりと訪れた男は常連さんの息子なんでしょうか。
同じ席の常連になるのかなぁ。
そんな風に、いろんなイメージが浮かんできました。
食客、という言葉を初めて知りました。書生さんがいた頃の、古き良き日本の物語、といった感じでしょうか。
古い農家の景色と、葬儀の少し重苦しい雰囲気と、祖父の思い出話。
まさりんさんのお話はいつも、センチメンタルとそれを笑い飛ばすようなカラッとした空気が同居しているような気がします。
お久しぶりの菅野樹さん。相変わらず上手いです。
柘榴、って物語が浮かぶ果物ですよね。
お嬢さんのまっすぐな気持ち、先輩は気づいているのかいないのか。
そして彼女の恋心に揺らいでしまった主人公はこれからどう出るのか。
何となく、夏目漱石の「こころ」が浮かんできました。
廃業するラーメン店の主とそれを見守る家族、という切ないけれど優しいお話。
そのアイスは淡い緑色をしていた。初めて見るアイスだった。文雄は一口齧って、しゃくしゃくと噛む。夏の日に涼しい、さわやかで透明な喉越し。
「ほぅ、ふうちゃんは抹茶が好きなのか」
この部分とか、せんべいを食べる時に音に集中してしまう、と言った描写が上手いです。
ラストでなるほど、と。
食、というテーマが上手く捻られていて、そういう発想もあったか、と感嘆しました。
洒落た丘の上の家に住む友達への憧れとそれが砕かれた苦い気持ちと。
子供の時は一人っ子の友達に憧れましたが、実際泊りに行ってみると大人っぽい暮らしぶりに追いつけなくて帰りたくなったり。
そんな風に子供の頃を思い出したくなる作品でした。
ビスケットの歌が浮かびました。ポケットを叩くとビスケットは二つ。
ビスケットへの憧れは打ち砕かれるようにできてるのかも。
自作です。
えーと、最後にゲーム「ピクミン3」の画像が貼ってあります。
これはピクミン世界をシリアスに描いたらどうなるかな、と遊んでみた作品です。
フェーヤは赤ピクミン、ひっこ抜かれた時のセリフも『ピクミン!』で差し替えて読んでいただけると幸いです。
ピクミン大好きなんですが、ピクミンのいる惑星は、人間の滅びた後の地球じゃないのかな…なんて思っていて。
そんな発想から浮かんだ作品です。ちょっと肝心のテーマ「食」が弱かったです。
反省。
ではでは、今回も楽しく読ませて、書かせて頂きました。
次回もよろしくお願いします!